あなたの音楽に対する需要は
- 「作り出す」
- 「あるところに寄せていく」
という2つの考え方ができます。
”作り出す” とはその名の通り開拓です。自分の音楽の方向性を変えずにやりたいことを追求し、需要が生まれるまで地道に突き進む道ですね。
もう一方の”あるところに寄せていく”という考え方は、トレンド(売れ線)を模倣するという意味ではありません。需要がある音楽をブレンドしていく手法です。
僕自身はこの「需要があるところに寄せていく方法」でライブオファーをいただけるようになりました。
第1章でお伝えした「自己分析結果」を、この需要とのミックスに利用したんですね。
客観的に言語化したあなたの魅力を、それを待ってくれている方に対して表現していく。このような活動ができるようになると、音楽活動での迷いやストレスはぐっと低くなります。
この章ではその方法についてお伝えします。僕の実践してきた内容が唯一の正解ではありませんが、成功事例としてあなたの活動に導入できる部分がないか探ってみてください。
やりたいことと求められていることのバランスを取る
あなたの音楽の需要を測るときに重要なことは、今やっている音楽スタイルを好きな層は、「誰で・どこにいて・どうすれば会えるか」を考えることです。
もしズバリの層が少なかったり、居ない、となれば、需要があるジャンル等に寄せていく必要があります。この「今やりたこと」と「世の中の需要」がかけ離れていると、音楽活動で苦しむことになります。
この”かけ離れた差”に早く気づき、埋めていく。これが「需要に寄せていく」という考え方です。
やりたいことをすべて我慢する必要はありません。我慢しないまでも「お客さんが喜んでくれるのならここまではできる」という線引きが必要です。これがバランスですね。
僕自身の例をあげてみますね。
僕はオリジナル曲しか歌わないアーティストでした。しかし、僕のオリジナル曲は「好きそうな年代が限られること」「一般受けする類のものではない」特徴があり、なかなか音楽活動の幅が広がりませんでした。
しかしあるとき、温泉宿や観光名所での演奏依頼をいただいたのをキッカケに、耳なじみの良い昭和の名曲をカバーし出してから僕の音楽活動が少しずつ広がりだしました。
温泉宿に泊まりに来る年齢層や宿泊理由を事前にお聞きし、その層が喜びそうなカバー楽曲を事前にセットリストに加えました。
自分の喜びと、お客さんの喜びのバランスを取ろうと考えての結果です。
僕は元々、洋楽フリークでしたが、自分で歌うようになると昭和の楽曲たちの奥深さと、その楽曲のお客さんの反応の良さには驚きました。これだ!!と思った瞬間です。
自分のやりたいことをやるために、まずはお客さんの希望を叶える。その希望とは「お客さんが聞きたい曲、お客さんが人生を共にしてきた楽曲を演奏すること」でした。
それを叶えるために「オリジナル一筋」というスタイルを諦められたのは、幸運でした。そこにこだわっていたら、今のような音楽活動はできていないと思えるからです。
なんでも屋にならない
需要に寄せていくというスタイルを取る場合、気をつけなければいけないことがあります。
カバーアーティストにならないということです。
むろん、カバー曲ばかりを歌うことに納得できていれば問題ありません。しかし、自分の歌で勝負したいアーティストがほとんどでしょう。
この「自分の思い」を完全にポッキリ折ってまで、需要に合わせる必要はないんですね。前述しましたが「バランス」が大事です。
要求されるままにカバー曲を歌っていると、「自分じゃなくてもいいじゃん」となってしまいます。カバー曲の持つパワーを上手に使い、自分の楽曲もアピールしていく必要があります。
そのためには、お客さんが「オリジナル曲もいいな」と思ってもらえる楽曲を持っていなければ、聞いている方はシラけてしまいますよね。印象に残りにくいです。楽曲のクオリティアップも普段の制作活動で注力していきたい部分です。
なんでも屋にならず、あなたの音楽を聴く理由を作る活動がセルフブランディングです。
このセルフブランディングが確立できると不思議なもので、自由に作りたいように作った曲もファンの方は受け入れてくれます。
まずは、お客さんを笑顔にする。そのあと自分を出していく。この順番を間違えなければ、おのずと活動の幅は広がります。
需要に寄せると何が起こるか
このように「自分の音楽活動に ”今ある需要” を取り込むこと」で僕自身に何が起こったか紹介しますね。
以下一例ですが
・ライブ後に次のライブが決まる
・ライブ後に連絡先を聞かれる
・ライブ後にCDが良く売れる
・ライブの予約が増える
・SNSでの拡散が増える
といった効果が表れています。特にライブのリピーターは本当に増えました。何度同じ曲を歌っても楽しんでくれるリピーターというコアなお客さんは、本当にうれしくありがたいですね^^
ライブでお客さんのハートをガッチリつかめると、「わたしのイベントにも出てほしい」や「どうしたらライブに来てくれますか?」といった問い合わせも増えます。
自分で営業せずとも、ライブのオファーをいただけることはアーティスト冥利に尽きます。求められているということですからね。
特に観光地など、ライブ以外の目的で来られているお客さんの前で演奏する際には、やはり「お客さんが知っている曲」は反応が非常に良いです。
まずは知ってもらう、興味の対象をこちらに向けてもらうキッカケとして、カバー曲など耳馴染みのある楽曲を取り入れることを意識してみてください。
まとめ
・需要に寄せていくしなやかさを持とう
・やらないことはしっかり決めておこう
第1章の「自己分析」の結果から、あなたが勝負できる場所を明確にして、そこに存在する需要をしっかり捉えましょう。
俺が!私が!!といった自己中心的な考え方ではなく、お客さんに喜んでもらえることを自分の喜びにできると「応援されるアーティスト」に一歩近づきます。
あなたの歌だから聞きたい!と言ってもらえるよう、お客さんの求めていることに敏感になっていきたいですね。