第3章 ビジネス目線を持つ

僕は田舎に住みながら割と自由に音楽活動ができています。どこに自由を感じているかと言うと「好きな音楽をやりながら、ライブのオファーをコンスタントにいただけているところ」です。

コンスタントというと年間50本も100本も?!と思われるかもしれませんが、僕はサラリーマンです。よくやっても月に2、3本ですね。

その月2、3本のライブ、基本的にすべてオファーをいただいて出演しています。

音楽をやられている方ならわかると思いますが、「自分で開催するライブ」と「オファーをいただいて出演するライブ」は重みも意味も違ってきます。(どっちが偉いという話ではありません)ようするに「お声がけいただけるミュージシャンである」ということですね。

ライブオファーをいただけることを自慢したいわけではなく、僕がどのようにして、オファーをいただける状態を作ってきたかに興味を持ってほしいと思います。

このような活動ができ始めたのは、僕が自分の音楽にビジネス目線を持ったことがキッカケだったと感じています。あなたは、自身の音楽活動をビジネスとして捉えていますか?

目次

ミュージシャンのビジネス目線とは

ビジネスというと、ミュージシャン/アーティストの「表現・感覚の世界」とは少し毛色が違うイメージを持つでしょうか?

「そんなにビジネスライクに音楽をやりたくない」という声も聞こえてきそうですね。僕も「ビジネスとは違うところで音楽やりたい」と考えていた時期が長くありました。

ここで言うビジネス目線とはお金儲けのことではありません。

ライブに呼んでくれる主催者に喜んでいただき、お客さんにも喜んでいただく。結果僕らミュージシャンも嬉しい。そんな関係を俯瞰的に見るには、今やっている音楽活動をビジネス視点でとらえるのが一番しっくりきます。

ビジネスとは相手をハッピーにすること

と言われます。まさに音楽のことですよね^^要するに「独り勝ちしない」ということです。

そして順番が大切です。僕らが音楽を届ける相手(主催者やお客さん)が喜んでくれたあと、結果として僕らにリターンがある。それはお金かもしれないし、「ありがとう」という言葉かもしれない。または、次のライブのオファーだったりします。ライブが同時に営業にもなるんです!

まず、Giveなんですね。圧倒的なGive。ここに音楽をビジネス目線で捉えることの本質があります。

お金儲けの世界では、とにかく競合を打ち負かし、その業界を牛耳ることを目指すかもしれません。しかし音楽活動での敵は自分自身。「自分が楽しければそれでいい」という”利己的な心”を打ち負かし、いかに関係者を喜ばせられるかにフォーカスしていきましょう。

これが、ミュージシャンに必要なビジネス目線です。

リターン(お金)はありがとうの総和

とも言われますから、喜んでいただけた人の喜びの数だけ、僕らが得られるものも増えていくというマインドです。

補足:お金について

”ミュージシャンのビジネス目線とは、お金儲けの意識では無い”

とお話ししました。

ビジネスなのにお金儲けではない?!という矛盾した内容になっていましたので少し補足しておきます。

音楽で儲けて良い、ただし順番が大事

音楽活動にお金は必須です。むしろ活動の源泉と言っても良いでしょう。

CDを作るのにもライブ会場に向かうのにも、あるいはブッキングにもお金が発生することがあります。

それらのお金をすべて自分の懐から出していては、生活が疲弊し、いづれ音楽活動自体が嫌になるでしょう。現にそのようにお金に困窮しているミュージシャンをたくさん見てきましたし、僕もその一人でした。

音楽を提供した対価としてお金をいただいて良いのです。このことにもっともっと慣れていくべきだし、シビアに考えるべきです。お金をいただく、と考えると、音楽に関わる全ての行動に責任が持てますし、クオリティもあがりますからね^^

ただし、

まずは、あなたの音楽で喜ばせる対象がいて、勝たせる相手がいて、最後に対価(ギャラ)が発生します

この順序を間違えてしまうと、自己中心的な活動になり、応援してくれるコアなファンがつきません。

ギャラありきの音楽活動は、チャンスをつぶしてしまいます。僕が前noteで言いたかったことはそこです。

儲ける事をいやらしいことと思わない

内心、「音楽でお金が欲しい!」と思っているミュージシャンでも、そのことを表に出さない人もいます。守銭奴とみられるのが嫌な気持ち、僕もわかります。

しかし、ボランティアで音楽をやっているのではない以上、お金にシビアになっていかないと、自分が疲弊してしまいます。

日本人の特徴だそうですが、「お金を稼ぐことに抵抗がある人が多い」と言われます。なんとなくわかります。

儲けることにマイナスイメージがつきまとうんですよね。

しかし、音楽でいただいたお金をお客さんに還元するつもりがあれば、より大きく稼いだ方がお客さんに渡せるハッピーも大きくなるわけです。

自分のためだけではなく、お客さんのためにもお金をしっかりいただく。

頂いたお金をあなたの音楽にどう活かしていくのかを考えておけば、稼ぐ・儲けるとうことへの抵抗はなくなります。むしろ良い事なのですから。

自分の利益のみ追及してしまえば、これからもずっと「ギャラの額」に支配され、音楽活動の本質(相手をハッピーにする)を失ったまま活動してくことになるでしょう。

ビジネス目線を持った僕が得た成果

上記でお伝えした僕なりの「ビジネス視点」を持って音楽活動を続けた結果得られた成果は以下の通りです。

・ライブの固定客が増えた
・ライブのオファーが増えた
・ライバルの動向が気にならなくなった
・地元の音楽界隈で一目置かれるようになった

固定客=コアなファンの方ですね。音楽活動を継続する中で一番重要なのがコアなファンの方です。

現代の日本では、ミュージシャンなどの個人の発信が届けたいところに届きにくくなっています。少子化が進み、そもそもの音楽を楽しむ人口が減っていることと、長引く不況により経済的ゆとりが無くなってきているからです。

そんなときに僕らの支持を底支えしてくれるのがコアなファンの方です。ライブだと言えば新しいお客さんを連れてきてくれ、CDを出したといえば率先して買ってくれる。まさに無条件で応援してくれる家族のような存在です。このように熱心に応援してくださる方に対して、僕らミュージシャン側ももっと積極的にお返ししたいですよね。特別扱いして良いくらいです。

先程のビジネス目線でいえば、「○○さんが喜びそうな場所だだからこの会場を選びました」くらいの特別感を出してライブ会場を選んだり、ちょっとしたプレゼントをしたり。。。相手にハッピーな気持ちになっていただく方法はいくらでもあります。

コアなファンの方は、新しい出会いをくれます。僕らと合いそうな方を率先して紹介してくれます。そのようなやりとりから次のライブが決まることもあります。

お伝えした成果はあくまでも僕のケースです。しかし、利他的(お客さんや主催者)な目線を持つことでデメリットはありません。

もし、お客さんや主催者のことを考えて行動したことで自分が苦しくなるようなことがあれば、それはお客さんや主催者と対等の関係が気づけていない証拠です。どちらかに上下関係がある状態では、win-winは成り立たないんですね。

自分を失うほど相手に尽くすことを進めているわけではありません。相手のハッピーを願って、自分にできる小さなことから始めてみましょう。

ビジネス目線の無いミュージシャンがやりがちなこと

自分の過去を振り返ってみると、僕がビジネス目線と言っている「利他的な感覚」が薄かったころは、とにかく自己中心的でした。

・ライブにお客さんが来てくれるのは当たり前
・CD作ったら買ってくれるのが当たり前
・ライブでギャラが出るのは当たり前
・ライブの主催者がいろいろお膳立てしてくれるのは当たり前

こういう気持ちは態度に出ます。自分がやられたら嫌なことのはずが、人を思いやる気持ちを忘れていると気づけません。このような態度が漏れ出ていた当時の僕は相当嫌なミュージシャンだったと反省しています。

何かが「当たり前」になるって、本当は怖いことなんですね。

自分の中の感謝の気持が薄れているな、、、と感じたら、それは相手にも更に強い印象として伝わっています。

感謝は言葉や態度にしなければ伝わりにくいもの。

ビジネス目線=相手のハッピーを願う気持ちや行動だとしたら、感謝を表明するのは日ネス目線を持った音楽活動の1つと捉えられますね。

まとめ

ミュージシャンのビジネス視点とは「音楽活動で関わる全ての人への思いやり」です。

・どうしたら相手が幸せか?
・何をしたら相手が喜んでくれるのか?

そんなことに意識を集中すると、今あなたがすべきことが見えてきます。

良い楽曲を作り、良い演奏をすることはもちろん前提ですが、その「良い」は相手にゆだねる部分。しかし、相手のハッピーを考えての行動は、音楽という感覚の世界を飛び越えて万人に共通する思いやりの心です。

誰にでも備わっている思いやりの心を音楽活動の中で発揮すると、関わっていく方々との関係性が変わってきます。

音楽活動をビジネスの目線で考えたこともなかった。という方もいるかもしません。

意識改革に即効性のある劇薬無く、必ず意識を変える!という強い意志で、少しずつ少しずつ変えるしかありません。

でも、なかなか人って変われないんですよね。僕も考え方を変えるのに十数年かかりましたが、意識を変えられたキッカケはたった1つでした。

次の章では僕が意識を変えられたキッカケについてお伝えします。

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